2012年7月6日金曜日

日本ペンクラブ訴訟への国内の対応

米グーグルが進めるデジタル化した書籍の全文検索サービスに対する米国での集団訴訟を巡り、日本ペンクラブは27日、阿刀田高会長や浅田次郎専務理事ら同クラブの有志20人が、「和解案がこのまま成立することは認められない」とする異議申し立てをすると発表した。文化庁によると、この訴訟で日本の有名作家がまとまって異議申し立てをするのは初めて。

阿刀田さんらが南ニューヨーク地区連邦地裁に送付する申立書では、日本の著作権者は米国より法的な立場が強いと、日米の著作権法の違いを指摘。米国法をもとにした和解案が成立すると、日本の出版ビジネスが脅かされ、著作権が侵害されると主張する。20人には辻井喬、吉岡忍、山田健太の各氏も含まれる。

阿刀田さんは会見で「グーグルという大きな力を前に、カマキリが鎌を構えるような勝ち目のない闘いかもしれない。でも、主張はしていかないといけない」と強調。外国のペンクラブとも連携し、和解案の問題点を米国裁判所に訴えていく考えを強調した。

世界の書籍700万冊以上をデジタル化。訴訟は、このデジタル化で著作権を侵害されたと米国作家協会などが米国で訴えたもの。同じ利害を持つ世界各国の著作権者たちを、米国の権利者が代表して提訴する、という集団訴訟の形式をとった。

訴訟への国内の対応は割れている。当初強く反発していた日本文芸家協会は、和解案に参加した上でデジタル化されたデータの削除も求めない方針。一方、谷川俊太郎さんら日本ビジュアル著作権協会の会員約180人は、この訴訟そのものを認めておらず、原告団から離脱することを表明している。