2016年1月20日水曜日

予想される風圧

確かに、冷戦下の国連では、常任理事国は不参加という慣行が守られ、必ずしも国連平和維持活動への参加が条件とはされていなかった。しかし、第一に、過去においては五大国がいずれも核保有国、武器輸出国であり、軍事力を背景に強い発言力を維持してきたという現実は見逃せない。

第二に、冷戦後の国連平和維持活動は、五大国不参加という慣行にとらわれず、とりわけ憲章第七章のもとで派遣された平和実施部隊においてはソマリアの米軍、旧ユーゴの英国、フランス軍など、常任理事国の兵力が重要な役割を担っていることにも注意を向ける必要があるだろう。

九四年一月に米議会上院は、軍事行動を含め、国連平和維持活動に日本とドイツが参加できるようになるまで、両国の常任理事国入りは認めるべきではない、という付帯決議を全会一致で可決した。これは政府を拘束するものではなく、米国の意向を左右するものではないが、こうした声が議会にあるという事実を、無視することはできないだろう。

決議では、「両国では現在、常任理事国の責任を完全に果たすことは禁じられているとの見方が大勢で、完全参加の能力を持つために必要な変革には乗り気ではない」として、結果的には制限の撤廃を促す内容になっている。これは、米軍などが危険にさらされるPKOの派遣決定に、制約のある国が参加するのはおかしい、という「平等論」とも言うべき意見だ。

もちろん、PKOは加盟国の自発性において、その能力や諸条件に応じて参加する活動だから、常任理事国の一員として派遣を決定しても、参加は義務としては生じない。だが、無条件で常任理事国入りを求めれば、その代償として、要員についても応分の負担を求める感情的、心理的な圧力は高まらざるを得ないだろう。