2015年11月18日水曜日

ニュートンの古典力学の世界に住む日本人

トーマス・マンはドイツ敗北直後でありながら、ドイツ人の精神的伝統、ことにそのロマン主義の良さ、美しさがヒトラーによって堕落させられてしまったのだ、とそのアイデンティティを懸命に擁護しているのである。こうした「部分否定」が可能なのは「契約一再契約の法則」によるのである。日本人の国民性が「多重人格」ないし「無節操」に映ったのも、この「作用・反作用の法則」のためである。要するに、日本人はニュートンの古典力学の世界に住んでいるのだ。

実際、日本文明には「慣性の法則」も「作用・反作用の法則」も存在している。むろん、「運動方程式」も成り立つ。「JF(日本人力)イコールM・E」がそれだ。日本人は情緒的な一体感とそれを共有する集団の規模が大きくなるほど力を発揮するのである。なんと、日本文明では比喩ではあるがニュートンの古典力学の基礎となる法則がすべて成り立ってしまったではないか。古典力学は決定論の世界だから、日本人の行動はすぐ読めるのである。これに対して西欧は、不確定性原理か支配する量子力学の世界である。

だから、常に確率という不確定な要素を考慮しながら行動するわけだ。さまざまなシミュレーションに基づき、一番確率の高そうなことから万が一の危機管理まで、しっかり戦略を練るのが西欧文明の生理なのである。