2015年9月17日木曜日

日本の景気低迷の原因

いろいろなウェブもグーグルで簡単に検索でき、グーグル得意の地図検索もパソコン上で行うときと同じような素早さで反応してくれる。日本の携帯電話の複雑な機能を使いこなしている人たちがどう感じるかはわからないが、パソコンで仕事をしている人間にとっては、グーグル携帯はパソコンの延長上の非常に便利な機器である。グーグルは世界の多くの携帯にこのアンドロイドを搭載することを狙っているのだろう。世界のパソコンの多くがマイクロソフト社のウィンドウズで動いているように、世界の多くの携帯電話がアンドロイドで動くようになるのだろうか。より多くの人がグーグル携帯を利用するほど、ソフトの開発コストを下げ、機能をアップさせることができる。規模の経済性が働いているのだ。

より多くの人がグーグル携帯を利用すれば、それだけ多くの人が携帯電話を通じてグーグルの検索やGメールなどを利用するようになる。ネットワークが広がりを持つほど、そのネットワークの持つパワーが拡大するというネットワークの外部性が強く働くのだ。独自のサービスと機能を志向してきた日本の携帯電話メーカーや通信会社にとってこの動きは脅威であるとともに、チャンスでもある。日本独自のOSや機能に強くこだわり、世界標準の流れとまともに競合する道を選べば、かつて日本のパソコンのOSが敗退していった道をまたたどることになる。

しかし、携帯電話のOSの流れをうまくつかんで、その上にどのような付加価値を乗せていくのか考えれば、そこの市場をさらに拡大させていく余地が生まれるはずだ。特に通信会社にとっては、より多くの通信をしてもらえるなら、アンドロイドであろうと日本独自のソフトであろうと同じだけ通信料を稼ぐことができるはずだ。Iモードという独自のサービスで日本国内市場の大きなシェアを占めているNTTドコモが、あえてグーグル携帯を導入したのは興味深い。今後、ドコモがグーグル携帯でどのような展開をするのか注目したい。

ところで、グーグルと違って機器からOSまで独自の路線をとっているアップルの「IPhone」は、パソコンで独自の世界を築いている同社のマックに似ている面が多い。この動きにも注目したい。国債バブルの問題を提起する書籍や記事が増えている。日本の政府債務は増える一方であるのに、その債務証書である国債の価格が史上最高値(国債利回りは史上最低水準)であるからだ。もし国債価格が暴落したらどうなるだろうか。そうした不安を感じている人も多いはずだ。日本の財政問題は、財政を運営する主体である政府の問題としてだけとらえるべきではない。長引くデフレと景気低迷、家計や企業の防衛的姿勢、金融機関の行動原理など、日本経済全体の動きとしてとらえる必要がある。

この20年、家計(消費者)は支出を抑えてきた。日本の家計部門が所有している金融資産の額は世界の中でも突出した存在で、年間可処分所得のおおよそ4倍という高い水準である(米国や英国は3倍、ドイツやフランスは2倍である)。将来の年金や医療や雇用が不安で支出を抑えてきた。だから、日本の内需はふるわず、景気も低迷している。デフレも長期化の様相を呈している。企業部門も戦後最大規模という手元資金を保有している。積極的に投資に資金を回さず、ひたすら防御的に手元に資金を蓄えている。だから投資需要が伸びず、内需が伸びない。これも日本の景気低迷の原因である。