2015年1月21日水曜日

グローバル社会では貿易摩擦が起こるものである

また、世界の国民所得構造上、対外不足なり余剰(つまり輸入・輸出の差額の正負のことである)なりの比率が高くなってきつつあるのが戦後の特色である。これはIMFとGATTの両体制確立によって国際貿易が全世界に浸透し、各国とも自給自足経済からの脱却が自然に図れたからであるにちがいない。

とすれば、他国民のためにする生産・販売が当初から産業構造・生産販売活動の一環として、当該国の経済システムに組みこまれている予定の行動であって、販路をうしなった商品のはけ口拡大ではない。

もし、上記のように特定国または地域との貿易摩擦、すなわち一方的な輸出または輸入によって国際収支構造が著しく相手方に依存的になる傾向が進むとすれば、それはたとえば輸出の任にあたる商社や生産者の巧妙な技術やマーケティングを非難するにとどまらなくなってしまう。

つまり、その商品の輸出を行なう産業構造、輸出に依存せねばならぬ工業生産水準などがその特定商品を通じて相手国の産業構造や生産水準、そして自動的に相手国の国民所得構造との格差に直面することとなる。

すなわち、A国は貿易を通じてB国と経済のあらゆる局面で衝突することとなる。現代の生産社会は、一国の経済は産業の現況を反映する鏡だけではとどまらない。その国の社会構造や文化水準や人間の意識構造まで反映するようになっているの獣実際である。