2014年9月17日水曜日

武器になる資格とは何か

まず自分の本質的能力を見つめ直すことが重要だ。小手先の技術をいったん忘れて、これまでの仕事で自分にどのような能力が培われたのか、そして、そのなかでももっとも強力なものは何なのか、まずそれを知ることである。その本質的な能力こそ、先で述べた「勝ち組SE」の「価値」なのだから。

自己の本質的能力さえ知ることができれば、あとは履歴書や職務経歴書でいかにその能力をアピールするかである。遠慮することはない。持てる最大限の表現力を駆使して、自信のある能力は多少過度なほどのすごみでアピールしてほしい。そうすれば、きっと企業側の採用担当者の目にとまることだろう。

転職を成功させるにあたって、資格はないよりはあったほうがよいという以上のものではない。資格にもよるが、けっして資格が多いから有利になるとは限らない。それにはいくつか理由がある。

まず、資格を得るには勉強する時間と労力が必要である。一見したところ、資格を取得したということは、忙しい業務のあいだを縫って勉強し、休日も勉強に費やした結果であるとして、その熱意が評価されると思うかもしれない。しかし、逆の穿った見方もある。業務はおざなりで、勉強にばかり身を入れていたのではないか、と思われるかもしれないのである。

実際、このようなタイプのSEは存在する。キャリアアップのため資格取得を最優先し、仕事は二の次というタイプである。わたしの以前の職場にもこのタイプがいた。もちろん、寝る間も惜しんで勉強した結果、むずかしい資格を取得した尊敬すべき人もいる。これは本人の業務における実績との対比になるので、一概には言えないのだが、裏腹の見方があることも知っておいて損はない。

さらにIT関連の資格というものは、ある特定の製品や技術と結びついていることが多い。たとえば、マイクロソフトやオラクルの認定資格などがそうである。これらは、製品が主流であるうちはよいが、非主流に落ち込んだ場合、資格の価値も下がる。つまり、普遍的な価値はそれほど高くない資格なのである。普通自動車免許のように免許さえいったん取得してしまえば、どのようなメーカーであれ、排気量であれ、デザインやスタイルであれ、普通自動車なら違和感なく乗りこなせるような汎用的な資格ではないのだ。製品が変わってしまえば通用しなくなるタイプの資格なのだから、さほど大きな武器にはなりえないのである。