2012年9月26日水曜日

企業の経営効率を高めて利潤をふやす

これらも「冷たさ」「昧気なさ」「単純化と画一化」を実感させることになりました。このような状況を社会学では「大衆社会化」と呼んでいますが日本でもヨーロッパやアメリカのあとを追ってゆきました。ヨーロッパやアメリカで文化や文化経済学が盛んに議論されるようになったのは一九六〇年代後半以降であるといわれています。日本社会も約一〇年遅れて「文化の時代」へと進みつつあったのです。

最近の企業の求人広告やパンフレットには音楽家、芸術家などのメッセージが写真とともに登場する機会が多くなりました。アメリカ企業や日本企業でも「効率第▽王義ではいい人材は集らない。」という意見が多くみられるようになりつつあります。この背景にはいくつかの要因がありますが、情報技術の導入によって、効率やビジネスの考え方に大きな変化がおこりつつあるためだ、というのが定説になっています。

かつては企業の経営効率を高めて利潤をふやそうとしますと、経営者は大規模な設備を投資して大量の製品を供給し製品単位=コストを下げ、市場での競争力を高めることに主眼を置いていました。市場で財を購入する消費者は製品の一定量がどれだけ安く買えるかに大きな関心をもっていて、代替品が登場してきて製品の質が急激に変化するなどということは予想していなかったのです。このような経営の方法を「規模の経済の追求」と言います。

しかし情報技術が進歩してきて、電話、ファックス、POSシステム、コンピュータによる情報処理やデータベースの構築が進んでくると、消費者の好みや需要の変化を電気通信システムによって企業に伝達し、企業が情報技術を応用した柔軟な生産体制によって、コンピュータのプログラムを変更しさえすれば簡単にデザインや部品の組合せを変えて消費者の多様な需要に応える多様な製品を短い時間で供給できるようになってきます。

そうしますと消費者の動向や生産技術の動向を他社よりも速く手にいれてより速く経営組織を対応させることが必要になってきます。「変化に有効に対応しうる経営」をもたらしてくれるのは誰でしょうか。それは消費者の需要の変化や新しい経営の手法の変化や情報技術のもたらす生産方法の変化に敏感で、いくつかの情報をコーディネイトして新しい経営の方法を絶えず考え、提案し、実行してくれる人材です。