2012年5月2日水曜日

長期金利が上昇するおそれがある

日米欧や中国など新興国で構成する主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が4日(日本時間5日)、ロンドンで開幕する。今月24日から米ピッツバーグで開かれるG20金融サミット(首脳会合)の準備会合で、日本からは竹下亘副財務相、白川方明・日銀総裁が出席。

マイナス成長からの底打ちが明確になってきた世界経済の現状や、緊急時の金融・経済政策から平時の状況に戻す「出口戦略」を議論する。また金融機関が短期的な利益を追求し、金融危機の原因になったとして、金融機関の過度な高額報酬を国際的に規制する議論も行われる。

今回の会議では、「世界経済は安定化を示す兆候があるが、不確実で大きなリスクが存在する」とした、7月のラクイラ・サミット(主要8カ国首脳会議)での経済認識をどこまで前進させるかが焦点だ。

8月以降に発表された主要国の4~6月期の国内総生産(GDP)の成長率は、日本やドイツ、フランスがプラス成長に転じるなど急回復した。ガイトナー米財務長官は2日、「世界経済はがけっぷちから引き返し、回復の兆しが見え始めた」と胸を張った。

しかし、景気回復は巨額の財政出動に支えられた一時的なもの、との見方は根強い。世界経済の回復をけん引してきた中国経済は、上海株式市場の株価指数が8月の高値から2割以上も下落し、「バブル崩壊」を心配する声もあり、先行きには懸念がある。

金融危機後、各国が進めてきた非常時の危機対策を終息させる「出口戦略」も焦点になる。過度の金融緩和ではインフレが心配されるほか、財政支出が行き過ぎると、国債の価格が下がり、長期金利が上昇するおそれがあるためだ。